†任国外研修旅行1†
〜ザンビア編〜

1999.11.15


おかたかより

協力隊員は、基本的に任期終了まで任国を出る事が出来ません。
ところが任期中に一度だけ、パスポートに記載された国のうち(公用旅券は渡航国の制限があります)
JICAが許可した国に旅行する事が出来ます。
これは他国の隊員の活動を見学し、違った観点から任国を見つめ直すと言う目的の元に行なわれます。
実際はそれほど生真面目には行なっていない様です。

僕はホーム・ページには遊びの事しか書きませんが、
きちんと隊員の活動も見学していますので、JICAに抗議等しないように願います(笑)。


 出発前

 研修旅行期間は最大21日間である。"おかたか"の訪問国はザンビア、ジンバブエ、マラウイの3ヶ国。隊員は出発前に色々と書類を提出しなければならない。もちろん配属先(”おかたか”の場合MTSS)にも休暇の許可を貰わなければ、事務所も承諾してくれない。
 ”おかたか”は9月末の1週間の休業前に、2週間の休みを貰う事にした。授業を行なわない2週間の間、生徒に課題でも作るかと思っていたら…。
 出発1週間前のこと
「Mr.Okano、学校は明日から授業がなくなるぞ。」「え?なんで?」「クローブ(香辛料の丁子)の収穫が始まるからだ。」「ん、ん?」「この時期はな、教育省からの御達しで、生徒のほとんどがクローブの収穫を手伝いに行くんだ。まぁ農場実習ってとこかな。」と、いきなり1ヶ月くらいの休みになってしまった。
 私用で休むので気を使ったのだが、そんな必要はなかったらしい。(休暇を取るのに"おかたか"が気を使うなんて、リオンの人達は笑ってるだろうなぁ)
 ちなみにクローブ。ザンジバル1の収入源なので、こんな臨時休暇もありらしい。

 出発!ザンビアへ
 いよいよ研修旅行に出発。ちょうどザンビアから研修旅行で来ていた”A”隊員と一緒に空港へ行く。ザンビアまでは悪名高い
エア・タンザニア(略してエアタン)を使う。”地球の歩き方”にATC(ANY TIME CANCEL)と書かれるくらい、いい加減さで有名だ。いきなり時間が変更になる事もあるので、きちんと2時間前に空港に着いた。出国カードを書いて、チェックインをする。順調だった。”A”隊員もチェックインをする。ところが…。
 
「Mr.A。あなたの名前がリストにありません。リコンファームされていない様です。」「ちょっと待て、俺はタンザニアに着いたときにすぐリコンファームしたぞ!!」これ、短期旅行なら誰もがやっている事。「そう言われても、名前がないので私にはどうしようもありません。キャンセルが出るまで待っていてください。」そいつのせいではないのだが、腹が立つ。カウンターが閉まる寸前まで待たされた挙句、「空席がございません。次のフライトにしてください。」とほざく。「ガン!」”A”隊員、カウンターを蹴飛ばす。"おかたか"は彼がエアタンのオフィスに文句を言いに行くのを見送って、ギリギリで搭乗。45分遅れで飛び立つ。機内食はやっぱりエアタンと言った感じ。エアコンがガンガン効いていて寒かった。後日分かった事だが、乗り損ねた”A”隊員は4日後の飛行機で帰ったらしい。
 ザンビアの首都、
ルサカに着く。時差はタンザニアの1時間遅れ。飛行機は落ちなかったらしい。これ、冗談でなくタンザニアンも拍手するぐらい危ないと言う話し。"おかたか"トラブル無しで到着と思いきや…。
 入国手続きを済ませ、預け荷物を引き取りに行く。ターンテーブルが動いているのに感心していた。しかし、なかなか"おかたか"の荷物が出てこない。近くにいたスタッフに
「運び出した荷物は全部でこれだけか?」「そうだ。」「??俺の荷物がないんだが…。」「ちょっと待ってろ、今飛行機の中を探してくる。」"おかたか"、すぐ出てくると思っていると「もうないぞ。」「どうしてぇ〜?」そして紛失物取扱所へ。ロストの手続きをする。旅行初日から着替えが全部無くなった。呆れて怒る気も失せる。一応探して、電話をくれる事になった。まぁなんとかなるか。トホホ。
 空港にいても仕方がないので
隊員連絡所(隊員はドミトリーと呼ぶ。隊員が用事で首都に上がったときの宿泊施設。)へ。入っていくと懐かしい顔ぶれが並んでいて涙が出そうだった。感激!!これこそ研修旅行の裏の目的だ。会社の同僚の”Y”隊員も本当に元気そうでなによりだった。今日の出来事を話す。エアタンは今日から「ATT(ANY TIME TROUBLE)」にすべきだ。夜はザンビアの隊員が用意してくれたバーベキュー。ワニの肉が美味かった。

 二日目
 荷物が気がかりだが、市街に出かけた。ザンビアのローカルバスはダラダラと大差ない。街に着いて驚いた。きちんと整備されたバスストップに、ショッピングアーケード。道は広く、綺麗な感じ。
 
LUSAKA CITY MARKETを覗く。日曜なので閉まっている店は多かったが、楽しかった。裏に回ると、懐かしい(?)ほったて小屋のマーケットがあった。
 そして官庁街に出る。道端になんと宝くじ売り場まである。綺麗な銀行、ファーストフード、広い中央分離帯にベンチがあったりする。木陰で、木のベンチなんて久しぶりに見た気がする。ここでビデオを取ろうとすると、二人の男に声をかけられる。
「おい、なにしてる?」「何してるって、これからビデオを取るとこだ。」「俺達は警察だ。ここでビデオを取るな。」「本当か?身分証明を見せろ。」本物のらしい。「おまえらスパイか?怪しいから警察署まで来い。」「あやしかねぇよ。それにまだ撮影してないし。」ちなみに会話は英語。「こいつら賄賂を貰うのが目的だよ。」と”Y”隊員。そう言う事ならと、「おれたちゃ日本のボランティアだ。決して怪しくない。疑うんならJICAのオフィスに来い。その後なら警察でもなんでも行ってやる。」なんだか形勢逆転した様だ。ぐずっているので「分かった、タクシー代は俺が出すから、日本大使館に行こう。」すると、「この後おまえらどこに行くんだ?」話題が変わった。「買い物。」「いっしょに行ってやる。」逮捕は免れたらしい。本当に腐ってるなぁ途上国の警察は。結局スーパーまで着いてきた。道中”Y”隊員は酒をせがまれたらしい。まったく。

 買い物を終え、昼食をとりにファーストフードへ行く。注文を済ませ、「腹減った」と待っていると、六人ぐらいのスーツを来た男が入ってきて、緊張した雰囲気になる。その中の一人と、お嬢ちゃん二人を囲んで男達が座る。なんだか知らんが一般人が握手を求めに行く。よく見ると昨日看板で見た大統領に似ている。「おい、”Y”。あの人、ザンビア大統領じゃねぇの?」「こんなとこにいるわけないじゃん。」「なんか似てるんだよなぁ…。あ、ちょっと姉ちゃん。ちょっと、ちょっと。あそこの人って有名人?」「彼は大統領よ。」「ほらぁ。」「本当だ!」その後も一般人は握手を求めに行く。そんな中、乞食が一人ふざけた調子で近づいた。SPが止めに入ったが大統領が制して握手して、金まであげた。乞食は外に出て仲間に自慢する。いつのまにか制服を着た警官が外にいた。官庁街での件があったので写真も取れなかった。緊張した雰囲気が少しあり、なにが起こるの怖かったが「飯食べ終わったら挨拶しに行こうか。」「そうだね。」と相談しているうちに、大統領は僕らより食事を早く済ましてこっちに歩いてきた。思わず立ち上がって頭を下げると、大統領自ら握手を求めてくる。口の中のものを飲みこんでそれに答えた。いや〜〜本当に驚いた。タンザニアの大統領はもちろん、日本の首相や、天皇陛下とも握手した事がないのに、こんな旅先でその国の大統領と握手できるとはね。ドキドキもおさまらないうちにドミトリーへ帰る。

 ドミトリーがある場所の地名を忘れ現地人に聞いてみる。「日本人のドミトリー知らない?」「どこにあるんだ?」「○○って地名だと思ったんだけど…。」その辺の奴らが首をかしげながら相談している。「こいつについて行け。」
 
タンザニアでも迷っていると現地人が助けてくれる。ここの人達も一生懸命教えてくれる。意志の疎通が出来ていなくてもへっちゃら。ありがたい事によく間違ったりもするんだが(笑)。
 案の定、来たときとは違った景色。仕方ないのでおろしてもらう。市街を外れるとやっぱりアフリカ。凸凹道に、バラック。落ち着く感じだ。遠くに市街の近代的な高層ビルが見え、二つのコントラストが不思議だった。もう一度市街に戻って、なんとかドミトリーには戻った。空港へ電話すると反応が悪い。水曜にならないと駄目なような事を行っている。言葉がもどかしい。ちょっと諦めムード。

 三日目
 語学力の都合で電話では埒があかず、昼頃空港へ行く。今日の夜ザンビアを発つので荷物が早く見つかって欲しいところだ。紛失物取扱所に行く。
「おいらの荷物見つかった?」「今日マラウイのリロングェから連絡があって、見つかったってさ。」「マラウイに行っちゃったのか。」「どうする?ルサカに送ってもらうの?それともザンジバルに送ってもらう?」「今日の夜にリビングストーンに行って、そこからジンバブエに入るから、ハラレに送ってよ。」「わかった。今マラウイにそう連絡するから待ってて。」とにかく見つかって良かった。すぐにマラウイから返事が来た「今日の便でハラレに送るってさ。」「ありがとう!おいらとっても嬉しいよ!おまえいい奴だな。」

 ホット一息。夜行列車の時間までのんびり過ごす。時間が来てタクシーで駅に向かう。到着してからタクシーの運転手と値段でもめる。失敗した。タンザニアだったら必ず値段を決めてから乗ったのに。ちょっと浮ついてるかな?夕食のハンバーガーを買って、列車に乗り込む。タンザニアの列車とあまり変わらず。しかし、コンパートメントはカギがかからず。車掌が来たので「カギかかんないよ」「どれどれ…本当だ」「泥棒が入ったらどうすんだ?」「危険な駅に着いたら起こすから心配すんな。」「…」奴のセリフから考えられるのは”現地人でも危ないと思う場所がある”と言うことと、”夜中に必ず起こされる”と言うことだった。どうなる事やら。

 


おかたかより

トラブルから始まった研修旅行。
どうして僕の人生ってこんななんだろう?と思いながら現実を受け止めています。
そんなこんなでザンビアではあまり写真を取ることができませんでした。


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