∽最悪の1ヶ月(その1)∽

1999.3.20


おかたかより

雨漏り修理も終わり、新学期も始まり、
これから本番と気合を入れて望んだのはいいのですが…。
まさか、こんな目に会うとは。では2月編の始まり、始まり。


 第一の災難

 1月30日。買い物をしに街の中心まで出る。僕は自分で電気街と呼んでいる道へ出た。(左の写真)ここは電気屋が多く並んでいて、そのほか雑貨屋なども並んでいて結構活気のあるところだった。きちんとした店のほかにも露店が出ている。ちょうど古着屋が並ぶ付近でバスケット用にと短パンに目をひかれていると、背負っていたディバッグに変な力がかかった。ふっと振り向くとそ知らぬ顔をして男が歩き去ろうとする。後ろから足を引っ掛けて「何した?」と言ってもちょっと振り向いて知らん顔、文句も言わず去ろうとするので「コリャ泥棒だな」と追いかけたが、ディバッグが気になり見てみると、チャックが少し開いている。盗られたものはなく、とりあえず未遂で終わった。その男はどこかへ紛れてしまったが、周囲のタンザニア人達が「どうした?どうした?」と寄ってくる。「あぁ、泥棒だったみたい。」「なんか盗られたのか?」「いや、大丈夫だ。」「この辺は多いから気をつけろよ。」と心配してくれる。だいたいこのへんでそれぞれに歩いて行く。しかし、「本当に大丈夫か?おまえはどっから来たんだ?いつザンジバルに来たんだ?」と、とても心配してくれているのかと思ったら、「ところでおまえ、銀行よりいいレートで換金したくないか?」「…いらねぇよ。」「そうか…。じゃぁ、この日本の札、買ってくんねえか?」と伊藤博文の千円札を出す。「これ使えねえぞ。」「なんで?」このへんでタンザニア人の抜け目なさに嫌気が差して立ち去った。

 第二の災難

 その夕方、やっと貸与になったバイクで練習のためバスケットコートへ向かう。途中警官に止められる。「こんにちは。」「こんにちは。」「免許見せて。」「はいよ。」「車検証と、保険証も見せて。」「はいよ。」「…これ、車検切れてるぞ。」「は?なんで?」この辺の会話が、スワヒリ語と、英語の片言で交わされる。警官の方も英語があまり出来ないようだ。「ほらここ、有効期限が過ぎてる。」みるとスワヒリ語で何か書かれている所に既に過ぎた日付が書かれている。「本当にこれ有効期限?」「そう、交通違反だからとりあえず警察署へ来い。」「これ、首都の俺達のオフィスが手続きしたもんだぜ?そんなわけねぇだろ?!」「でもここ良く見ろ、日付は過ぎてんだろ?」でも、なんのための日付だかわからない”おかたか”。それでもしょうがないので、バイクを引きずって警察署へ。
 途中引きずるのが面倒なので「
おまわりさん、運転してってよ。」「おまえが運転しろ、俺が後ろに乗る。」おいおい、車検切れのバイクたった今おまえが捕まえたんだろ?俺が運転していいのか?)と思ったが言う事を聞いた。
 到着してから
「とりあえず電話を貸してくれ、事務所に連絡する。」「無線はあるが、電話はない。」(あっちゃー)「おまえは裁判にかけられる。この書類にサインして、○月○日に裁判所にいけ。」言葉もお互い片言、相手は警察、しょうがないので書類にサイン。「で、裁判所ってどこにあるの?」と聞くと、色々と言葉で説明する。「いいから地図を書け。」(この辺からイライラしている。)でもここの人達、地図なんて普段使ってないので描くのが下手。この国では地図は高価なものである。「もういい!だいたい分かった。この日に行きゃぁいいんだろ?」と開き直って「バイクに乗って帰っていいのか?」と聞いたら「今回は良しと言うことにしてやろう。」「?」「無かった事にしてやる。」「???」(態度を変えて)「ありがとう。ミスター!!車検はすぐ取るからね。仕事がんばってね。」と言って練習に行った。
 後でわかったのだが、タンガニーカ(タンザニア本土)とザンジバルで車両の登録が違うらしい。そしてその警官は本土の書類を知らなかったらしく、日付だけ見て違反と決め付けたらしいが裁判所の場所でもめたあたりで自信がなくなったようだ。(本当は賄賂ねらいだったかもしれない。)翌日、学校の校長がそう教えてくれた。その日付は登録日だったようだ。同じザンジバルの”K”隊員は検問で同様の書類を見せても何とも無かったそうな。


おかたかより

同じ日に泥棒に会って、警察に厄介になった。
両方とも大したことが無かったものの、気を抜くと何が起こるかわからない。
気を引き締めて行こうと思ったのだが…。


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