†マフィア†

2000.6.1


おかたかより

”マフィア”ちょいと響きの悪い(?)名前ですが、
ザンジバルの3分の1ぐらいの面積で南に位置している島です。
学校が国家試験の会場になったのでしばらく授業が中断しました。
こう言ったことがいきなり伝えられるのも隊員の悩みのひとつです。
というわけでいっちょ遊びに行ってきましたマフィア島。
くれぐれも「いつも遊んでいる」とは思わないでくださいね(笑)。


ちょっと驚いたこと

 マフィア島に行く前日、ドミで本を読んでいると電話が鳴る。なんと7月に帰国したばかりの先輩隊員からだった。「元気?みんなどうしてる?(ちなみにスワヒリ語だった)」「みんな元気だよ。そっちは?」「仕事がね…。」退職参加、新卒参加の隊員は帰国後が大変らしい。「そういえばさ、あの人があんな事したんだって?」「えっ!?何で日本にいるのに知ってんの?」「ちょっとねぇ…(笑)」協力隊員の噂話に距離はない。どっから情報が入るんだ?いやはや恐ろしい。

 

マフィアへ

 当日。タンザニアのダルエス・サラーム空港は滑走路が二つある。国際線が新しいほうで国内線が古いほうと聞いていた。マフィア行きの飛行機はてっきり旧滑走路から出るのかと思っていたが、間違えた。チェックインを済ませ、朝食をと思ったがレストランがやっていない。仕方なくビスケットと、コーラで済ます。10時のフライトが、少し遅れた。ダルエスは暑い。汗だくで飛行機に乗る。ここで左の腕のブレスレッドが無いのに気づく。ソロモン諸島から送ってもらって気に入ってたやつだ。残念。飛行機はザンジバルを経由していく。ザンジバルまでは15分。低空飛行であっという間だった。それからマフィアに向かう。

 うわさ以上に本当に落ち着いたところだ。漁具漁法という職種で派遣されている”R”の家にお世話になる。ここのお手伝いさんの作るローカルフードは本当に美味しかった。

 翌日”R”の職場に行く。ひまを見て海に連れて行ってくれるそうだ。9時頃出航。”R”お勧めの砂の島が見える。ここの海は本当に綺麗だ。くらげの種類が茶色、青、透明と沖に向かうに連れ変わっていく。砂の島に到着。”R”大はしゃぎ。普段は仕事をしているのでなかなか来れないそうだ。すごい!綺麗!写真を撮ってとりあえず島を去る。今度はタコを取る。海に潜ってタコの巣を探すが素人には難しいらしい。”R”が見つける。槍のような棒で穴を突き刺す。タコのスミが舞う。弱ったところで手を突っ込んで引っ張り出す。その後海中で頭(正確には腹かな?)をひっくり返して内臓を出す。そうして大人しくなる。面白いもんだ。”R”の同僚のオマリーさんがもう一匹見つけて取ろうとしたが、失敗。昼を過ぎたので帰る事に。帰りの操舵を任された。まっすぐ走らせるのは結構難しい。浜に着いて片付け。体は疲れている。家に帰って飯、昼寝。

 夕方のこと「岡野さん、オマリーさんの家に行ってみませんか?」「どのくらいなの?」「近いっすよ。」「そんじゃ行こうか。」海ではしゃいで疲れていた"おかたか"。近いというので行ってみたら30分もかかった。”R”、距離感がタンザニアン化している。

 オマリー邸での目的はコロショ(カシューナッツのこと)を貰うことだった。到着してすぐはオマリーさんが帰ってなくてママ(奥さんのこと)のゴザ作りを見ていた。これまた器用に作ること。その後コロショの木を見に行った。ビボ(カシューアップル)をとって食べる。美味い。桃よりさっぱりした甘さで果汁が豊富。食べた後に口に渋みが残る。その後、コロショだけ貰って帰ろうとしたら、炒り方を見せてくれた。豪快な炎と皮むき。面白かった。家に帰ってまた夕日を見る。これまた綺麗。酒を買いに行く。夕食の鯵のムチュジ(スープ)が美味しい。酒も進んだ。今日取ったタコの唐揚げも美味しい。

 翌日。日焼けで背中が痛い。それでも昨日と同じ時間に海へ向かう。途中、テンボ(椰子の木から取れる酒。違法。)を取っているところを見た。椰子の実から作るのかと思ったら、椰子の枝からとっていた。

 職場に着く。昨日もそうだったが盗難防止のため、ボートから毎回船外機を運ぶ。これがまた重い。それを軽々と運ぶ”R”は「未来少年コナン」のようだった。(決して名探偵コナンではありません)すごいね。

 準備が終わって出航。ここで”R”がタコ取り槍を忘れた事に気づく。しかし戻らず沖へ。沖にいる漁師仲間に借りるらしい。そうこうしているとオマリーさんが叫ぶ。言われた方を見たらなんとジンベイザメだった!すげぇ!でけぇ!こんなに近くにいるよ!とはしゃいでいるうちに遠くへ。ところがもう1頭いると言うので追っかける。今度のは餌を追っているのでしばらくは見ていられるそうだ。イワシの群れが跳ねていて、それを追いかけるジンベイザメ。うっひょ〜〜!これは感動もんだ!いつもながらタンザニアンの目はとてつもなく良い。

 感動が収まってから今度はタコ探し。”R”達はまた獲っていた。タコが獲れると今度はロブスターを獲るとのこと。なぜだ??話を聞くと、タコ、ロブスター、ウツボは三竦みになっているそうだ。海の底は庭園のように珊瑚が綺麗だ。本当に綺麗。オマリーさんは右手に網、左手にタコをくくりつけた棒を持っている。ロブスターを探す。見つけた。そうっと左手のタコをロブスターに見せる。逃げるロブスター。その背後に網を用意していとも簡単に獲った。へぇ〜よくできてんね。その後ロブスターをそのまま食べた。贅沢ではあるがそれほど美味しくもない。もう一匹探しに出たがいない。昼を過ぎたので帰る事に。さっき取ったばかりのタコやら貝やらで昼食。美味かった。食後はボケッとしながら何故か、ロープワークの話題に。ここでボースンズノットを覚える。それからウラッカ(カシューアップルで作った酒。これも違法。)を買いに町に出る。これは店には売ってなくて、たまたま昨日漬けた家を探すのである。通りの人に場所を聞いて、テンボが置いてあるバーへ行く。明るいうちからおっさん達が飲んでいる。味見をしたらすっぱい感じだった。しかしまぁ美味い。アルコール度は日本酒ぐらいか?ここにはウラッカがなかったので他の場所へ移動。フラフラしていると道端でウラッカを飲んでいる連中に会い飲ませてもらう。いい感じの甘さだが口に渋みが残る。でも美味い。3杯で酔いが回ってきた。入れ物が無いので買うのはやめる。あの渋みをもっと美味く処理をすればもっと飲みやすくなるだろう。実を絞って1日置くだけだと言っていた。

 帰り道ショックな事が起こる。”R”の飼い犬・レイがバイクに轢かれた。一緒に歩いていてバイクが来るからよけろと言ったすぐ後だった。悲鳴を聞いて立ちすくむ。バイクは遠くへ行ってしまう。動けずに見送る。奴ら直前までスピードを落としてなかった。ふと我に帰って「あんなのを許すのか?」”R”に聞いてしまった。「俺にどうしろって言うんですか?」”R”。レイはすぐにどっかへ行ってしまった。黙りこくって歩く。唖然として体が動かなかった自分に腹が立つ。”R”は村人に犯人の行く先を聞いていた。穏やかに先に戻ってくれと言われ、家に向かう。しばらくして”R”が帰ってきた。落ち込んでいても仕方ないと夕食。タコ、コロショで酒が進む。純なテンボも届いた。匂いがきつい。美味しいがゴクゴクとは行けない。ふと会話にレイが出てきた。気まずいかなと思ったらいきなり「レイが帰ってきた!」”R”が外に出た。本当だった。すごい!右足は痛そうにしている。良く生きて帰ってきたもんだ。胸のつかえもなくなりみんな酔っ払う。いろいろと充実した一日だった。

 

後になって…

 ”R”が言うには今はジンベイザメのシーズンだから飛行機の中から群れが見れるかもよ?しかし、期待は外れた。
 そんなことより、数日後のこと。ちょいと足の先が痛いというか、痒くなってきたので左足の第2指を見ると先にマメのようなものが出来ている。数日放っておいたが気になって針でつついた。膿になっているのかと思ったが、その割には塊が出てくる。崩すとタラコのようにつぶつぶになっていく。先輩隊員に聞くとこれが
「砂蚤(すなのみ)らしい。海岸でない砂の上を裸足で歩くと、皮膚に卵を産み付け、養分を吸い取って孵化する蚤らしい。ある先輩によると孵化の時期が一番痛いらしい。"おかたか"はかろうじて免れた。しかし指の先はぽっかり穴があいてしまった。

 


おかたかより

ザンジバルでも十分海は綺麗なのですが、
マフィアのほうが田舎っぽくて(?)より綺麗でした。
あんな近くでジンベイザメが見れるなんて…
隊員生活の中でも上位に位置する出来事でした。

11月はこの後お客の接待で忙しくなります。


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