♯ 続・続・仕事の話 ♯

1999.11.15


おかたかより

それでは引き続き仕事の話。
このページでは僕の日頃の間抜け加減などを紹介します。


 学校の小話集

スワヒリ時間:
 タンザニアの時間は普段我々が使っている時間より6時間ずれている。日の出の時間(通常の朝6時)を正午としているのである。
 MTSSにボランティアに来ていたオランダ人が、任期を終了し帰る日のこと。この日は授業がなく別れを伝えに朝、ボケた頭のままで学校へ行くと、
「タカトシ、Mr.Kは今日の10時にザンジバルを去るぞ。」「え?!10時?もうすぐじゃん、俺港に行ってくる!」急いで港に向かっていると頭に疑問が浮かぶ。「あれ?今俺スワヒリ語で会話したっけ?英語だったっけ?」普通の時間で考えると英語なら朝の10時、スワヒリ語なら夕方の4時。なんだか急がなくてもいい気がしてきた。案の定、港に着いても誰もいない。スワヒリ語で10時(普通の時間で4時)だった様だ。
 ちなみに日本と、タンザニアの時差は6時間(タンザニアが遅れている)スワヒリ時間を聞くと、日本時間がわかるようになっている。

 

ロボットの話し:
 とある授業で生徒達とビデオを見る。テレビ、ビデオの接続等を教えるためである。これらは前任者が予算を組んで学校に援助したものだ。動作の確認にもなる。ビデオの棚には前任が置いて行ったらしいビデオテープがあった。再生する。生徒達は顔を引っ付け会わせながらテレビにかじりつく。中身は「機動○察パ○レイバー」だった。"おかたか"は懐かしくおもう。もちろん日本語。始めの場面に戦車と、ロボットが出てきて撃ち合っている。生徒達は真剣。「おまえら日本語わかんのか?」「わかんな〜い。」「見てて面白いか?」「おもしろいよ。」「そっか…。(微笑む)」他の学科の先生や、生徒に遊んでいると思わせない様にしなければと考えていると、「ねぇ先生、先生はロボットも操縦できるの?」「???☆!!!」「日本にはロボットがあるんでしょ?」「?(あるにはあるんだが…)」これ本当の話。

 

一夜一夜に…:
 
タンザニアの生徒は暗算が苦手である。計算はいつも電卓を使う。もちろん買えない生徒もいる。そんなときは持っている生徒に借りている。ほうっておくと1÷10まで電卓で計算する始末。
 あるとき黒板に[ルート2=1.4141…](都合で記号を省いています)と書くと、
「先生、ちょっと待ったぁ〜(なんでここで"ちょっと待ったコールがかかるんだ?と思いつつ)どうした?」「ルート2を計算しているから待って」「なんだ?俺を信じてないのか?」「そうじゃないけどさぁ」他の生徒、「それあってる!」ここで"おかたか"、ルート3、ルート5をそらで書いて見せる。「え?!本当?!ちょっと待って、計算するから。」あっちこっちで電卓を叩く音。「うわぁ〜先生かしこ〜い!」"おかたか"ずっこけながら「このぐらい日本の生徒はみんなしってんぞ!(まったく、先生に向かって『賢い』か、今までどう思ってたんだか)一応株を上げた"おかたか"であった。
 それにしても、考えてみれば"語呂"。日本語では知っているが、スワヒリ語にそんなもんあるのかな?それでも円周率などは頭に入っているようだ。

 

ジャン・ケン・ポン!:
 実験器具の少ない授業。"おかたか"としては全員の生徒に触らせておきたい。ある授業でテスターの使い方を教えていた。いつもどおり生徒に聞く。
「ここ調整できる奴いるか?」「俺やる、俺やる。」そう言うのはいつも同じ奴だ。そこで一工夫「ところでな、おまえらジャンケンて知ってるか?」この質問をした"おかたか"、アメリカ、中国には似たようなものがあったので、てっきりスワヒリ文化でもあるもんだと思ってた。しかし…。「なにそれ?」「知らんのか?!」「これが紙で、これが石で、これがハサミでさぁ…」説明を続ける"おかたか"、しかし分かってくれない。「あのさ、おまえらさ、例えばこの俺の時計をおまえらのうちの誰かにあげるって言ったらどうやってそのラッキーな1人を決めんの?」「話し合いかなぁ…。」"おかたか"は驚いた。なんとも不思議で、心地の良いカルチャーショックだった。

 

引いて楽しい〜?:
 実験器具の使い方が分かって、簡単な回路の測定をさせる。器具は全員には行き渡らないので、いくつかのグループを作る。はじめのうちは理解している生徒と、そうでない生徒を組ませたが、理解していない生徒は見ているだけになってしまう。ここで"おかたか"は毎回違うグループを作らせる事にした。
「よし、おまえら今日は好きなようにグループを作れ。」見ていると、どうも理解している奴らで固まる。その日授業をこなすと、理解していない生徒たちの進みが本当に遅い。次の回もそうさせると同じ生徒同士で組んでいる。まいったなぁ。そして次の回。"おかたか"は前歯を出して、婆さんの格好をして(と言うのはウソだが)「おまえらに日本のグループの作り方を教えてやる。」と言って、黒板に向かい縦に人数分の線を引く下には”A”、”B”、”C”「おまえら好きなところ選べ」「先生、俺”A”ね。」「じゃ、俺も」いつも組んでいる奴らが同じアルファベットを選ぶ。アルファベットがグループの記号だとは分かったらしい。しめしめ。「そんじゃ決めるぞ。」"おかたか"横線を入れて行く。「先生、なにやってんの?」「まぁ見とけ。」生徒たちはポカンとしている。「♪あみだくじ〜」と歌いながら(と言うのもウソだが)決めて行く。ざまあ見ろ、これこそ”Mungu akipenda(スワヒリ語で「神のみぞ知る」)だ”「え〜!先生そりゃないよ!」などと言いながら喜んでいる。今日もまた授業が進まない"おかたか"のクラスだった。

1999.12.25

僕のです:
 タンザニアでは、生徒が教室のものを持っていってしまう事件(?)が続出する。お金のない学校ではチョーク一本でも惜しいので先生達は必死で隠す。他の学校の隊員に聞くと、黒板に何かを書いている隙に他の色のチョークを持って行ってしまうらしい。教育実習のときも、生徒のカバンは全部集めて、教室の前において置けと指導された。
 我がザンジバルは本土と比べて裕福なので、チョーク辺りではなんの問題もないし、実験機器が盗まれた事もない。ところが…。
 "おかたか"の定規が数ヶ月無くなっていて、諦めかけていたころの話。授業ではとある回路の特性をグラフに書かせている。相変わらず定規が足らなくて右へ左へ移動している。ふと目をやると見かけた事のある定規が、
「おい、”A”その定規おまえのか?」「(自信ありげに)うん。」「本当におまえのか?」「僕のです。」「その定規、なんて書いてある?」「えっと…、フジバンク…。」「ふ〜ん。そっか。そりゃどう言う意味だ?」「…。知りません。」「どこで買った?」「…。」「本当におまえのか?」「ちょっと机の上にあって…。」「ボケッ!!なんでおまえが日本の銀行の定規を持ってるんじゃ?!」「アチャ。」「このウソツキめが!!!」ビシバシと定規で頭を引っぱたいた"おかたか"であった。

 

どっちが先生?:
 来週から年度末試験が始るという、とある土曜日。"おかたか"は任国外研修旅行で来ている同期隊員Aに頼まれ学校見学に連れて行く。学校には誰もいないと思っていたのだが、学校に着くと…。
「ガヤガヤ、ガヤガヤ。」「ん?教室に誰かいる。あ、うちの生徒だ。」「あ、先生、Manbo?」”Manbo”は若者の間で流行っている挨拶で”Poa”と答える。しかし生徒が先生に使う挨拶ではない。)「ちょっとまて!!今なんて言った?おまえ、他の先生にもそうやって挨拶してんのか?」「いやぁ…しないけど…。」「ベシッ!!」最近暴力教師になりつつある"おかたか"。「ところでおまえら、休みなのに何やってんだ?」「理解している奴が分からないところを教えてあげているんです。」「そうか、そうか。感心、感心。続けて、続けて。」と、その生徒は黒板の前に立ち他の子に教えてあげていた。同期隊員のA「なかなか偉いじゃん。」"おかたか"、ちょっと嬉しい。教室の中を覗くと、他の電子科の生徒の顔も見える。その中の一人が挨拶に来る。「勉強はどうだ?」「ぼちぼち。」「家の客だ、挨拶せい。」「コンニチハ」このあいだ教えた日本語だ。良く覚えているなぁ。「はい、こんにちは。ところで君は教えている方?教えて貰っている方?」「…。わ、私達、話し合ってるのよ。誰が先生だなんて無いわ。」Aの奴、意地悪な質問だ。"おかたか"はその子がどっちか知っているのだが…。


おかたかより

とまぁ、アホな事ばかりしています。
ネタの古さも日本を離れて久しいので許してください(笑)。
今後何か話題に出来ることがあったら更新して行きたいと思います。
お楽しみに。


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履歴

公開日:1999.11.15
2話更新:1999.12.25